「全体より上」では、効いているか分からない
この記事の要点
- ジャグラーの台選びを「全体より高いか」で比べると、効果が大きく見えすぎる。高設定が多い日の分まで数えてしまうため
- 「周囲に高設定が多い台」は、正しく比べ直すと効果が半分(+7.6ポイント)になった。台番ランキングも+1.2ポイントまで下がった
- 比べる相手は「選ぶ力がゼロなら何%になるか」を先に計算して決める
前の記事で、明日の予測に使える材料はほとんど残らなかったと書きました。 唯一わずかに残ったのが「同じ日、周りの台がどうか」でした。 ところがこれも、測り方を直したら効果は半分になりました。 同じ間違いを3回続けたので、その記録を残します。
最初に見えていた数字
「周囲4台のうち3台以上が高設定っぽく動いている台」は、その日高設定だった割合が 34.5%でした。全体の割合は17.5%。 ちょうど2倍です。「島で設定が入る」という界隈の通説どおりに見えました。
| 条件 | 高設定だった割合 | 全体との差 |
|---|---|---|
| 周囲4台に高設定挙動が3台以上 | 34.5% | +17.0pt |
| 両隣とも高設定挙動 | 31.1% | +13.6pt |
| (全体) | 17.5% | — |
ある店・8,600件超のデータ。この時点では「島は効く」と結論しかけていました。
比べる相手が間違っていた
問題は「全体の17.5%」と比べたことです。 高設定が多く入った日は、どの台も高設定になりやすく、同時にどの台も 『周囲に高設定が多い』状態になります。 つまり「周囲に高設定が多い」という条件は、「今日はいい日だった」を拾っているだけ かもしれない。島とは関係なく。
確かめるために、島がまったく無関係な世界を数字で作りました。 「日によって全体の割合だけが上下する。台の場所は関係ない」という世界です。 そこで同じ集計をすると、
島が無関係な世界でも、2.7倍に見えました。 「全体と比べて2倍」という数字は、島が効いていなくても普通に出るものだったわけです。
測り直した結果
| 比べ方 | 周囲4台に高設定3台以上の割合 |
|---|---|
| 全体(17.6%)と比べる | 34.8%(=2倍) |
| 場所をシャッフルした配置と比べる | 27.2% → 34.8%(=+7.6pt) |
「場所シャッフル」でも27.2%まで上がります。ここまでが「今日はいい日だった」ぶん。そこから先の+7.6ptだけが本当の島の効果。
効果の半分は「今日はいい日だった」ぶんでした。 残った+7.6ptも、統計的には「弱い」に分類される水準で、 しかもこの効果が出たのは調べた店の中で1店だけでした。
同じ間違いを、台番ランキングでもやっていた
「その台番の過去の高設定率が上位10位に入っている台」も、 全期間をならして「上位10位の高設定率20.3%(全体17.6%)」と比べていました。 これも同じ誤りです。
その日の中だけで比べ直すと――上位だった台の当たり数を、 「その日の全体割合どおりなら何台か」と突き合わせる―― 効果は+1.2ptまで下がりました(18.8% 対 17.6%)。 しかもそれが出るのは「機種を絞ったとき」だけ。曜日で絞ると消えます。
特日は、符号が逆だった
ついでに書いておくと、「5のつく日」などの特日は、 過去データで見ると告知日のほうが結果が悪いという結果でした。 「特日は高設定が入る」を加点材料にしていたのは、間違いでした。
3回間違えて分かった、共通の直し方
推定した数字を何かと比べるときは、比べる相手を先に決めないと、 たいてい過大に見えます。私たちが間違えた相手はこの3つです。
| 比べた相手 | なぜ間違いか |
|---|---|
| 機械割 100% | 設定を絞れていない台でも、6段階の平均で 103%台になる。100%と比べれば必ず「上」に出る |
| 「情報が無いときの値」 | たくさんの推定値をならすと、必ず元の平均に戻る。差は常にゼロになる |
| 店の1日ぶんの平均 | 観測が少ない台ほど推定は平均に寄る。前任者ぶんと1日ぶんでは、選ぶ力がゼロでも差が出る |
どれも「選ぶ力がゼロでも差が出る相手」と比べていました。
正しい手順はこうです。
- 「選ぶ力がゼロなら何%になるか」を先に計算する。それが比べる相手。
- 答えが分かっている合成データを2つ作る。効く世界と、効かない世界。
- 効かない世界で「効いている」と出ないことを、必ず確かめる。 種を変えて何度も回して、誤検出の割合を数える。
この検証で、アプリはどう変わったか
- 来店判断の点数表示をやめました。効いていない計算の結果を「72点」と大きく出すのは、 「断定しない」という方針に反します。
- 末尾集計(JPS)をタブから外しました。末尾0〜9のどれも偶然の範囲でした。
- 島スキャンは残しました。効果は弱く1店だけですが、 「同じ日・店内での判断材料」としては唯一残ったものなので、控えめな表現で置いています。
効かないと分かったことを消すだけでなく、 「これは効きません」と根拠つきで書けること自体が価値だと思っています。 前日の凹み・連続凹み・据え置き・曜日・末尾――全部試して、全部だめでした。 それが分かっているアプリは、たぶんそう多くありません。
効くものだけを、控えめに載せています
GoGo Judgment のホール攻略ナビは、実データで検証して残ったものだけを主役にしています。 予測は当たらないと分かったので、 いまは「その日、店に着いてから」使える材料に絞っています。
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